山 川: 戦争のことがありましたけれども、私は昭和18年生まれですが、爆撃のことを少し覚えているのですね。私は沼津に疎開していたのですが、沼津という所は、富士山を目指してB29が飛んできて、そこから東京に向かう、その行き掛けの駄賃で、焼夷弾を落としていったという所なのです。ですから2歳の子供だったのに、母が、焼夷弾の火を箒で消しているのを覚えているのです。

 

疎開が終わって東京に引っ越してきたのですけれど、その時には、今度は、飛行機が飛びますと、もうB29の音を覚えていますから、爆弾を落とされるんじゃないかと弟と2人で家中を逃げ回っていました。そういう世代です。でも日本は私たちが子供の頃にどんどん復興して行きました。そしてその頃は、幸せになるにはどうしたらいい?お金があればいいじゃない、物があればいいじゃない、とみんなが思っていて、松下さんが出てきたり本田さんが出て来たりして、私達に豊富にものをどんどんどんどん与えてくれて、経済成長がどんどん起こったという時期ですね。それで私たちは物質的に豊かになって、ますます幸せになってゆくと感じていた時期が、私が成長していた時代じゃないかと思っています。

 

私はそんな中にどっぷりつかっていたので、若い頃、精神世界とか、自分はなんだろうとか、考えたこともありませんでした。

ただ、お勉強ができて、いい大学に行って、卒業して、そしていい所に就職して、それで女性だったらいい人のお嫁さんになって子供を産めばいい。そんなような感じでずっと来たのではないかと思います。

 

それで私は、それなりに色んな葛藤はありましたけれど、でも、自分は何ものだろうといったことを深く見つめないままずっと来てしまいました。そして私は30代のころはそれなりに充実した、いい人生を送っていました。ところが40

歳を目の前にしていた時に、急にあるワークショップに夫が参加しまして、そして変な事を言い出したんですね。「お前はそのままじゃ駄目だ。もっと変わらなくちゃいけない」と言われて、(会場笑い)随分反発したのですけれど、もう仕方は無しに私もそのワークショップに参加しました。すると、自分が100%変わってしまったのです。

 

どのように変わったかというと、それまで私は自分の外ばかり見てたのですが、自分の内側にあるものを見るようになったのです。以前は自分が良くなるためには、何か外側に付ければいいじゃない。英語ができるとか、勉強ができるとか、音楽ができるとか。そういう風に外に出かけていって何かを学んで自分の身に纏えばいいじゃない、とずっと考えていたのですね。

 

そのワークショップで突きつけられたのは、あなたはいったい何ものですか。あなたは一体誰なのですか、という事でした。そして、もし自分自身を知りさえすれば、そのままの自分でいいのだよ、外側に何かを付けることではなくて、自分がいったい誰か、自分はどういう人間なのかを知ることが一番大事なのだということを教えてくれたのです。

 

自分自身は誰ですか?あなたは何ものですか?

この世の中で唯一、本当に知る必要があることがあるとしたら、それはあなた自身なのですよ、ということを突きつけられたのが、そのワークショップだったのです。そこから私の旅路が始まったのです。

 

そしてそれからすぐにアメリカに行きました。アメリカには、当時1982年なのですけれども、そういうワークショップが一杯ありました。それでアメリカで同じワークショップに参加し続けているうちに、私は自分の真実というものをだんだん発見していったのです。

 

そして最後に知ったのは、私自身は宇宙と一つであること、かけがえのない存在であることでした。そしてあなたがあなた自身を愛さなくてどうするの、あなたがあなた自身を愛していさえすれば、すべての問題はなくなるよ、ということでした。

 

そして、それは私にとっては非常に大きな学びだったのですが、でもそういうことが学べたときに、不思議なことがどんどん起こってきました。

 

主人は大蔵省から世界銀行というところに出向していたのですけれど、そこで、あるベトナム人に出会いました。その人は人の顔を見てその人の運命を読む人だったのですが、その人に“お前たちは人を引っ張っていくような役割をするのだよ。”なんて言われて、「まさか?」と思ったり、何人も不思議なことを言う人に出会ったりしました。

 

そして、84年になって、『アウト・オン・ア・リム』(“Out on a Limb”)という本に出会いました。シャーリー・マクレーン(Shirley MacLaine)という女優さんが書いた本です。その『アウト・オン・ア・リム』を読んだとき、私の魂はうち震えました。

 

これが私の知っていたことだ。しかも私が本当に知りたがっていたことがこの本の中に全部書いてある。というような思いをしました。それまでも、自分とは誰か?ということを学んでいましたが、それはこの世的な、三次元的な所でとどまっていました。でもシャーリーの本を読んだ時に、私は四次元まで飛んでしまったのです。

 

この世界には見えないものがある。実は私たち自身たちは魂の存在なのだ。

私にとってスピリチュアリティとは、私たちの真実そのものなのですね。有名な人の言葉に、「私たちは魂を持つ人間ではなくて、人間という形をとった魂なのだ」という言葉があるのですが、まさにその通りで私たちの本質はスピリチュアルそのものなのだから、スピリチュアリティとは何かって問う事自体、私には不思議だと感じるようなところがあるのです。

 

このようにして私はその本に出会ったのですが、大蔵省の公務員をしていた主人が、「この本を日本語に訳したい」という、突拍子もないことを言い始めたのですね。でも、物事がとんとん拍子に進んでいき、二人で本を訳しました。それから私たちの人生は大激変しました。

その後、夫は大蔵省をやめて、それから20年間二人で翻訳者をしています。今まで50冊本を訳して、全部、精神世界の本です。世界中の人の本を訳しているのですけれども、全部同じことしか書いてないのです。

 

でも、その学び方や説明の仕方、はみんなそれぞれの本で違うのですね。イスラムのスーフィを通して学んだ人の本、キリスト教を通して学んだ人の本、それから純粋にチャネリングだけで書いた人の本とか。色んな本を訳していますけれど、言ってる事は全部同じなのです。それで私は、翻訳者という仕事をよくぞ選んだなと思っています。

 

もし自分で本を書いて、自分の意見だけを人に伝えていたら、ああ、この人はこんな変なことを言ってるなと思われて終わりですが、これだけたくさんの人の本を訳すと、アメリカ人もいればイギリス人もいればブラジル人もいる、そういう人達がみんな同じこと言っていますよ、と言うことができて、とてもメッセージを強く伝えることができると思ったのですね。

 

だから私は翻訳を通して、私達は魂の存在なのですよということを、みなさんの前にそっと差し出す、ということをしているつもりです。そして人は、分かるときが来ないとスピリチュアルなことはわからないと思うのですね。

 

私にも分かる時がやっと43歳ぐらいの時に来ました。星川さんのように二十歳の時に始まる人もいれば、(会場笑)もっと若い人たちもいるでしょう。一歳の時はきっと私たち全部分かっていたのだと想うのですけれども、成長するに従って、それを忘れてしまうのですね。

 

60歳になってもまだ分からない人がいて、でもその人が一年くらい経つと、「きっとこれが本当なんだね。やっとわかった」なんて言ってくることもあるのですね。

 

それで私たち二十年も翻訳をやってきて、もしかしたら今起こっていることは、壮大な実験だと思うようになっています。今まで何千年も同じような戦いや争いを繰り返してきた私たちが、今度こそ、新しい地球を作れるかどうかという実験をしているのではないかなあと私は思っているのです。

 

みんなが集まって、自分のやりたいと思っていることをやっている。それはもうバラバラのやり方で全くいいと思うのですね。エコロジーから入っていく人もいれば、病気になって、こういう世界に気づく人もいます。スピリチュアルな世界を知ってから、急に歌がでてきて、歌でみんなにメッセージを伝えているという人もいれば、絵を描き始める人も一杯いるのですね。世界中にそんな人がいっぱい居て、私達はあちこちでそういう人に出会っています。

 

それから、私達は何気なく世界中に旅行していますけれど、私に言わせれば、色んなエネルギーを蒔きに行っている、交換に行っているのだというふうに思っています。今ではすごく単純に、みんなが楽しくいろいろやっている内に何かうまく行くのではないか、とのんきに思っています。うまくいかないかもしれないけれど、でも実験だから、みんな自分が思ったことをそれぞれにやっていけばいい。

 

それで私はこれから何をするかというと、もう翻訳はいいかなって、主人共々言っています。ただ、責任がある作家の方が何人かいるので、そういう方たちが新しい本を出したら、ぜひそれは訳したい、訳させてね、という形でやっていって、あとは自分たちの好きなことをやりながら、講演会など、いろんな所でメッセージを伝えていきたいと思っています。自分たちの本も出したいですね。

 

それでもう60歳ですから、引退してもいい年だし、のんびりのんびり、あとは余生ということで過ごすこともできます。ただ、60代になってからみんな、力を発揮できるのかもしれません。60代なんて、まだまだ若いのですよね。(会場笑)今は、60歳は引退する年じゃないし、多分これから皆さんすごくきらきら輝き始めるのでしょう。

 

そういうことで、私も色んなことをやっていきたいなと思っていますし、ここには若い方が一杯いらっしゃいますが、そういう若い方が、今いろいろなことを始めていますよね。

 

私はピースボートで三年前世界一周してきたのですけれど、一緒に船に乗っていた若い人たちが素晴らしかったです。だめな奴もいっぱいいました、本当に。もう一晩中お酒飲んでいるだけの子もいました。でも、大部分の若者たちは本当に素晴らしかったです。どこが素晴らしいかというと、自分がやろうと思うことを全部やってしまう。それもわずかな間に。

 

行動力というかやる気がある。それからビジョンがはっきりしていると思いました。たとえばロックコンサートをやりたいと思ったら、三日間計画してやってしまうのですね。とても私たちの世代にはできなかったことです。一人ひとりがとてもクリエイティブな感じでした。

 

私たちはどこかで違う面を持てるようになってるのです。そして若い人たちは、直感やビジョンを見るのがとても上手であると思いました。

 

私は最近、みんなにもっと直感を使ってよといつも言っています。今まで頭で一生懸命考えることが大切だとされていたけれど、そんなの飛ばしちゃってもいいかもしれないよ、って言ってるんですね。これも実験なので、やりたい人だけやってねというふうな感じなのですけれども。私は直感に従って、あそこに行きたい、ここに行きたい、あれをしよう、これはやめよう、というように動いています。でもうまくいかなかった、ということがあると、ああ、間違っていたな、一つ勉強したと思うのですが、最近では直感を感じるのが上手になって、ぱっぱっとうまく行くようになってきました。そうすると本当に共時性がどんどん起こってきて、ああ、そうなっていたのだ、という人生にだんだんなってきています。

 

「池に藻の種が一つ落ちました。それがん芽を出して、池を覆い始め、一日に二倍になって増えてゆきます。池が全部、藻で覆われる一日前には、池はまだ半分しか藻に覆われてなかったでしょう」、というふうなことをシャーリー・マクレーンが言っていました。平和を望む人が一日に倍ずつ増えるとしたら、地球上のすべての人間が平和を望むようになる一日前には、まだ半分の人しか、平和を望んでいない、ということです。

 

今は、一生懸命種まきと細胞分裂とを繰り返して、平和のために私たちそれぞれが働いているのが今じゃないかなって、私は思っています。そして、それはきっとうまくゆく、と信じています。

 

楽観主義なんですけれども、いまはそんな感じです。

 

会 場: (拍手)

 

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