日本政治思想史研究者の自衛隊海外武力行使構想反対声明

集団的自衛権 Comments (0)

平石直昭、松沢弘陽両氏は、丸山眞男の影響を受けている代表的な日本政治思想史研究者です。
もともと本ネットワークと関係があるわけではありませんが、この声明文はどのサイトにもまだ掲載されていないということなので、両氏の承諾の上で掲載します。

平石氏は、小林正弥編『丸山真男論』(東京大学出版会)
の第5章も執筆しておられます。

(小林正弥)

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私たちは現政権が強行する自衛隊の海外武力行使構想に反対します

 

私たちは以下の理由で、現政権が強行しようとしている自衛隊の海外における武力行使容認の方針に反対します。

現政権が成立する根拠となった前の総選挙で、この問題は大きな争点として取り上げられていません。与党である自公両党の間でこの問題をめぐる協議が難航してきたのは、その何よりの証拠です。日本国憲法がよってたつ民主主義の原理では、主権は国民に存します。政治家は国民の信託に基づいて政治をする公務員にすぎません。前の総選挙で私たちは、自衛隊の海外での武力行使という問題について、政治家に白紙委任をした覚えはありません。そしてもし政権が信託を受けていない問題について恣意的な決定をするなら、それは民主主義と憲法秩序の破壊につながります。

さらにこの間の経緯は、この問題に関する政府自民党の方針が場当たり的なものに過ぎないことを明らかにしました。歴代内閣が否定してきた集団的自衛権の容認強行という方針から、集団安全保障による派兵容認の方針へ転じ、三転して当初案に戻ったことは、彼らの方針が一貫性に欠け、事前に問題点を洗いだしていなかったことを示しています。国のあり方の根幹に関わる平和主義の大原則を、一政権のこのように拙速な判断によって変えることは、大きな禍根を将来に残すと言わざるをえません。

1931年の満州事変以後の日本の歴史は、時々の情勢に対する場当たり的な対応を重ねながら侵略拡大の途をたどり、内外人士に多大な惨禍をもたらして敗戦の結末を迎えました。日本国憲法第九条の平和主義はその反省をふまえ、二度と同じ過ちを繰り返さないという国民の不戦の決意を表明したものです。戦後七十年間、日本が立ってきたこの原理を、その問題について信託を受けてもいない一政権が恣意的に変えることは、民主主義と立憲主義の原理に対する重大な違反であると考えます。

 

2014年6月                
平石直昭(日本政治思想史研究者)
松沢弘陽(日本政治思想史研究者)

 

kinoshita @ 7月 1, 2014

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