韓国の学者による集団的自衛権行使容認決定への反対声明

集団的自衛権 韓国の学者による集団的自衛権行使容認決定への反対声明 はコメントを受け付けていません

以下の声明は、7月下旬にソウルで開催された丸山真男シンポジウムにあわせて、韓国の学者30人が、安倍内閣による集団的自衛権行使容認の決定に反対して公表したものです。

直接には、1998年に小渕首相と金大中大統領との間に結ばれた日韓共同宣言の趣旨に反することが主眼になっていますが、同時に、本サイトに掲載した平石、松沢両氏のの「日本政治思想史研究者の自衛隊海外武力行使構想反対声明」に対する連帯の意が表されています。そして、今こそ丸山が示した普遍的価値
追求の精神の継承が必要ではないかと訴えていますので、その日本語訳をここに掲載します。

*****************************************************************************************

我々は立憲主義と民主主義に反する

安倍政権の集団的自衛権行使容認決定に反対する

 

我々は安倍政権の集団的自衛権行使容認決定に反対する。内閣の判断による憲法解釈で平和憲法の核心を毀損した今回の決定は、立憲主義に対する重大な挑戦である。 同時に、反対が賛成を圧倒する日本国民の世論を無視し、一部の政治家の信念を国民に強制した点においては、民主主義への挑戦でもある。1998年の「日韓共同宣言-21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ-」第3条で、小渕総理大臣は、韓国がその国民のたゆまざる努力により、飛躍的な発展と民主化を達成し、繁栄し成熟した民主主義国家に成長したことに敬意を表し、金大中大統領は、戦後の日本の平和憲法の下での専守防衛及び非核三原則を始めとする安全保障政策並びに世界経済及び開発途上国に対する経済支援等、国際社会の平和と繁栄に対し日本が果たしてきた役割を高く評価した。我々は、安倍政権の今回の決定がこの歴史的な合意と真っ向から背馳し、その結果、多くの人々が刻苦の努力で積み重ねてきた日韓友好協力関係の核心的な基礎を取り壊してしまったことを直視する。

 

平石直昭東京大学名誉教授と松沢弘陽北海道大学名誉教授は、2014年6月に 「私たちは現政権が強行する自衛隊の海外武力行使構想に反対します」という声明を発表した。彼らは、過去の日本が満州事変以後の侵略拡大によって国内外に惨禍をもたらしたことに対する反省をふまえ、憲法9条として表明した平和主義の意義を再確認したうえで、一政権が恣意的にこの原理を変えることは、民主主義と立憲主義の原理に対する重大な違反であると警告した。我々は、日本の政治に向けて峻厳な警告を発するこの二人の政治学者の声明を、積極的に支持する。我々は、韓国国民が立憲主義と民主主義を獲得するために軍事独裁政権と戦っていた際に、少なくない日本の学者が韓国国民の抵抗を支持してくれたことを記憶し、韓国国民の長い旅路を寂しくないものにしてくれた彼らの同志的連帯に対して、感謝の意を表明する。今日我々は、立憲主義と民主主義の国である韓国の学者として、日本国民が我々と共有する価値を守るために歩もうとしている、険しいかもしれない旅程を寂しくないものにする責任を感じる。我々が今日、ここで二人の学者の声明を支持することは、この責任を成し遂げるための第一歩になるのであろう。

 

今年は、丸山真男生誕100周年の年である。それを記念する行事が、彼の住んでいた日本の東京だけでなく、彼が訪問したこともない韓国のソウルでも開催された。丸山氏は戦後日本において、平和、人権、民主主義という普遍的価値に対する変わらぬ信念を貫き、他者を深く理解するための探求を続けた。これが、彼の生誕を記念する会議が韓国においても開催された理由であろう。我々の声明は、国境を越えて彼の思想を批判的に継承しようとする試みであり、同時に、日本国民が彼の思想を再び思い起こすことに対する心からの助言である。丸山氏を記憶する今日の、そして、必ず彼を思い起こすであろう将来の日本の友への連帯の心情をこめて、我々は安倍政権の集団的自衛権容認決定に反対する。

 

2014年7月28日

朴鴻圭(高麗大学)

 金錫根(峨山政策研究院)

姜東局 (名古屋大学)

 

fm @ 8月 13, 2014

コメントはまだありません

Sorry, the comment form is closed at this time.

archive.php