普天間基地問題について沖縄県外移設方針の確定と毅然たる対米交渉を求める緊急声明(※)

公共的活動 普天間基地問題について沖縄県外移設方針の確定と毅然たる対米交渉を求める緊急声明(※) はコメントを受け付けていません

(※ 沖縄県外移設は国外移設も含む)
       
 普天間基地問題については、民主党のマニフェストでは明記されなかったものの、鳩山代表は国外・県外移設を明言して選挙で圧倒的な勝利を収めた。ここには巨大な民意が存在し、初の本格的な政権交代を実現した歴史的政府は、この重要な問題については特に、この期待を実現しなければならない。私たちは、沖縄の人々の辛酸に心を痛めており、その実現を念願している。

 昨年12月に政府が決定を回避した結果、現行の辺野古案を強行する危険性は去ったように思われる。3月29日のアメリカ国防長官との会談で、ようやく外相も現行計画を検討対象から除外する姿勢を鮮明にした。

 首相の上記発言にもかかわらず、これまでは閣内からも県内移設案を主張する声があり、危惧されていた。しかし、首相が2日の関係閣僚会議で「普天間は全力で県外に出したい」と徳之島への移設を指示したことを受けて、4月9日、政府は、ホワイトビーチ(沖縄県うるま市)の沖合人工島建設案も断念して、鹿児島県の徳之島を軸に米国や地元と調整する方針を固めたと報道された。普天間のヘリ部隊(約60機)の大部分を徳之島空港の滑走路を利用するなどして徳之島に移転し、一部を米軍キャンプ・シュワブ陸上部(沖縄県名護市)にヘリパッド(ヘリ離着陸帯)を建設して移転する方針という(毎日新聞4月10日)。

 この展開を受けて、関係閣僚は歩調を揃えて県外移設の方針を明確にしつつある。これが確定すれば、県内移設案を政府として退けて、県外移設の大方針を明確にしたことになる。これは、極めて重要な進展である。

 基地問題の解決を願う人々の中には、県外移設のみならず国外移設にすら反対して米軍のアメリカ本土への撤退のみを主張する人もいる。私たちも理想としてはこのような主張は理解できるが、一歩一歩理想を実現してゆくために、現実的に実現可能な案の実現を追求すべきだと考える。

 日本国民という立場からすれば、県外ではあっても国内の基地移転よりも、グアム、サイパン・テニアンなど国外への移設が望ましいので、日本政府は国外移設の可能性をアメリカに打診し続けるべきであろう。しかし、アメリカ側がそれを拒んでいる限り、日本政府としては国内移設の可能性も提示することも必要だろう。

 そこで、国外移設の可能性と同時に、県外移設の選択肢も提示することは重要である。国外移設案にしても現地の人々に負担がかかることは県外移設案と同じなので、日本の立場を離れて地球的な観点からすれば、「国外移設ならばいいが県外移設は絶対に容認できない」と言うことは難しい。

 そこで、沖縄の人々の負担を軽減するためには、国外移設の可能性を追求すると同時に、県外移設案も政府として具体的に提示して県内移設を明確に斥けることが焦眉の急である。移設先として、より望ましい県外の場所が現れれば、徳之島案に固執する必要はない。しかし、現時点で鹿児島県・徳之島への基地移設がもっとも可能性が高いのであれば、具体案を提示して県内移設を決定的に斥けたことの意味は極めて大きい。私たちは、この首相及び政府の英断を高く評価する。

 徳之島の地元の人々の中に反対があることが憂慮されるが、国内移設にせよ国外移設にせよ、そもそも地元の人々に負担を強いる基地移設には反対が生じるのは当然だから、それだけを根拠にこの案も断念すると、そもそも県外移設の可能性を提示することはできなくなり、基地が沖縄県内に止まることになってしまう。

 そこで、この問題については段階的な解決を目指すことにして、県外移設案を第1段階とし、次の第2段階として国外移設の実現を日本政府の目標とすべきであろう。さらに、究極的には基地の必要がない平和な友愛の世界を作り上げるように日本政府は最大限真摯に務めるべきだろう。

 アメリカは、基地を沖縄から移したくないために、地元の反対も根拠として、この案も含めて県外移設案に難色を示している。しかし、日本政府は、沖縄の人々の苦難を軽減するために、県内移設を明確に斥け、県外ないし国外移設の方針を確定して、地元の 人々の理解を得るように努めつつ、不退転の決意でアメリカへの交渉に臨むべきで ある。

 仮にアメリカとの交渉が5月までに成功しなくとも、政府として、現実的な移転先を提示する以上、それを恥じることはない。アメリカが県外移設に難色を示して基地移転がすぐに実現しない場合、民主党は県外移設ないし国外移設の実現を今度はマニフェストに高々と掲げて、参議院選挙で民意を問うべきである。

 古において、聖徳太子は、大国・随に対して「日出る処の天子、書を日没する処の天子にいたす。 恙がなきや」という書簡を送った。友愛を掲げる政府は、そのような精神で毅然としてアメリカに臨み、県外移設ないし国外移設を明確な公約として、断固として現実的な理想の実現に邁進することをここに要請する。

        

2010年4月16日
地球平和公共ネットワーク有志
   奥健一郎  鹿児島大学教授
   木戸寛孝  世界連邦運動協会理事
   小林正弥  千葉大学教授
   仲佐秀雄  山梨英和短期大学名誉教授、通信放送料室共和文庫
   成田好孝  世界連邦21世紀フォーラム事務局次長
   平野慶次  京都市民

admin @ 4月 16, 2010

コメントはまだありません

Sorry, the comment form is closed at this time.

archive.php